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2009年11月26日 (木)

最後のオリエント急行の旅(6) — オリエント急行乗車

6.1 ウィーンへ

オリエント急行はウィーン発ですが、ブダペスト発フランクフルト行の客車4両を併結します。そのブダペスト発19:05のEN460に乗ってウィーンに行っても良いのですが、それだとウィーンで慌ただしくなることが予想されますから、早めの列車で移動することにします。

その移動にあたっては、後でまたウィーンからブダペストのルートを通るので、今回はブラチスラバを経由することも考えてみました。15:30頃の列車に乗れば、20時にはウィーンに着けます。
でも、そのブダペストからブラチスラバへの列車がベオグラード発というのがくせ者で、これが遅れでもしてオリエント急行に乗り遅れては元も子もありません。

ということで、今回は安全策を採り、その分ブダペストの滞在時間を延ばすことにしました。


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この日(11月20日)はセーチェニ山の登山電車や王宮の丘のケーブルカーなどに乗り、夕方、ホテルに預けておいたスーツケースを受け取って、ブダペスト東駅に地下鉄で向います。
前日は良い天気で気温も20度近くまで上がったのですが、この日は1日中霧が街を覆い、気温も5度くらいまでしか上がっていなかったと思います。

さて、ブダペストまでは、オーストリアの新しい特急列車Rail Jetが乗り入れていますが、残念ながら時間が合わなかったので、17:10発のEC942で移動です。
Img_56541等車は最後尾の1両で開放式。間に食堂車を挟んでその前にコンパートメントの2等車が2両と開放式の2等車が1両。ヨーロッパに来て開放式の車輌にあたるとちょっと損をした気分になります。
シートは革張りですがほとんどリクライニングはせず。足掛けの位置が随分高いところにあって、体格の良いヨーロッパ人には使いづらいのではないか、そして、荷物置き場が車輌の中央部にあるのが他とちょっと変わっているなと思いました。

外はもう真っ暗になった17:10、列車は定時に発車です。
1等車の乗客は15人程。そんなにウィーンとブダペストの間の需要は大きいのだろうかと思っていたら、途中駅で次々に降り、国境を越えたのは2人だけでした。特にパスポートコントロールは無く、ただ車掌が変わったのでもう一度切符のチェックに来ただけでした。

食堂車は付いていますが、やはり一人旅ですと荷物が心配になって、なかなか長時間席を立つ気になれません。一応自転車のチェーンロックは持っていたのですが、車内のど真ん中でおもむろにそれを取り出して掛けるというのもなかなか勇気が要るもので、ちょっと偵察するにとどめました。
しかし、ほぼ夕食時というのに何となく活気がありません。今回の旅の途中で何度か食堂車を覗いたのですがどれも似た様な様子で、やはりヨーロッパの鉄道の旅のスタイルも変わって来ているのかなと思った次第です。

列車は定刻より少し早くウィーン西駅に到着。
Img_5670西駅は、ウィーンで最も多くの優等列車が発着する幹線ターミナルですが、現在は改装中で、駅の設備も限られています。1等車の長距離切符を持っていればラウンジが使えますが、そうでなければ、あまり長時間過ごすには向かない駅なんだなということがわかりました。
私は、次々に出入りする列車や、カートレインの積み込み風景などを見ながら、退屈せずに過ごしました。


6.2 オリエント急行

ウィーンでは、22:40に出発するストラスブール/フランクフルト行のEN468を「Orient Express」と案内しています。ただ、フランクフルト行は、前述のようにブダペスト始発の車輌が連結され、これは少なくともブダペストを発車する時点では「Danubius」と名乗っています。よって、フランクフルト行がオリエント急行と呼べるかはちょっと微妙、加えて本来のオリエント急行のルートからも外れますから、やはり現時点でのオリエント急行はウィーンとストラスブールを結ぶ列車ということでしょう。

Img_5684さて、ウィーン始発の車輌は、およそ1時間前にはホームに入線して来ました。
編成は後部からストラスブール行の2等車2両、クシェット2両、寝台車1両、その前にフランクフルト行の2等車1両、クシェット1両、寝台車1両、これにブダペスト発フランクフルト行の食堂車、寝台車、クシェット、2等車の4両が前部に連結されます。

車輌はオーストリア所属のため、白地に窓周りが明るい灰色、雨樋あたりと裾にオレンジの帯。これが青系の車輌ならもう少しオリエント急行らしい風情も出てくるんですけど。

Img_5686寝台車内には室内に2段ベッドだけの2人用個室が12部屋と、おそらくはシャワー付と思われる大きな個室が3部屋あります。通常の2人用個室は幅が140cm程で、先日Bosphorで乗ったルーマニア所属の寝台車に比べるとかなり狭い、寝台そのものの幅も70cmくらいしかありません。
個室は8割方埋まっているようですが、どうも私と同じ様なことを企んで乗車されている方が何人もいるようです。7、8人連れの日本人グループ、数名の韓国人グループ、そしてカメラを持って歩いているヨーロッパ系の人が数名。普段はもっと空いているからこそ、廃止になるんでしょう。

ブダペスト発のDanubiusは本来22:11に隣のホームに到着することになっているのですが、到着したのは22:25頃。やはり早く来ておいて良かったと思いました。後部についていた4両が直ぐに切り離され転線されます。
遅れたとは言っても15分あったので、オリエント急行は無事定刻発車できました。

今夜の寝台車はオーストリア所属なので、ちゃんと洗面グッズや朝食の案内が揃っています。昨年乗ったドイツの寝台車と違ったのは、朝食の種類を選ぶ紙が置いてあり、それにチェックを付けて行く方法となっていること。六つまではフリーで、後は1項目増える毎に1ユーロ払いなさいというシステムです。
バターまで1つに入ってますから、コーヒー、ジュース、パン、バター、フルーツと選べた、残るはハムかソーセージか卵かを一つ選ぶというのが妥当なところでしょうか。
車掌は、翌朝、朝食と一緒にパスポートは返すと言って、チケットとパスポートと朝食の希望を書いた紙を集めて行きます。時間も遅いので直ぐに横になりましたが、やはり少し狭さを感じながら寝入りました。

翌朝、目が覚めると列車は丁度シュツットガルトを出るところでした。さすがにオーストリアとドイツだけあって、定時運転です。
Img_56917時を過ぎると車掌がパスポートと一緒に朝食を持って来ます。昨年ミュンヘンからパリまで乗った寝台車では食事の時には下段を畳んでシートにして、廊下に仕舞ってあったテーブルをセットしましたが、この列車では洗面台の蓋兼用の小テーブルで食べることになります。朝食の内容は、まあ昨年のより少し落ちるけど、まあこんなものかという感じ。フルーツといってリンゴ一つ丸まま出すのはちょっと違うような気もしました。

カールスルーエに7:49に到着。ここでフランクフルト行と分割し出発は1分延発の7:55。

実は、私はこの後のスケジュールの関係で終点ストラスブールまで行かず、次のバーデン・バーデンで下車します。そのため、正真正銘のオリエント急行に乗る必要があったのは、このカールスルーエとバーデン・バーデンの間の約20分だったとも言えます。また勝手に寝台を畳んで、この最終区間の車窓を楽しみました。

Img_5698バーデン・バーデン到着はやはり1分遅れの8:14。到着した時、外に見えたのは片面のホームにただ壁があるだけ駅だったので、一瞬まだどこか近郊のローカル駅のところで信号待ちしているのかと思ってしまいましたが、ここがバーデン・バーデン。
この駅は真ん中にICEの通過線があり、その両側には防音壁を設けているため、南行きの列車の発着ホームからは駅の本屋も全く見えません。オリエント急行はこの駅に5分停車し、ICEの通過を待ってから、ストラスブールに向けて出発して行きました。


6.3 バーデン・バーデン —> ニュルンベルグ

今夜の宿はプラハ。
とりあえず、カールスルーエまでIREで戻り、そこからIC2065でニュルンベルグ、そしてプラハ行のRE353に乗り継ぎます。

Img_5706IREは2階建てのプッシュプル客車3両と機関車です。
朝8時半という時間帯でしたが、今日(11月21日)は土曜日なのでそれほど混んではいません。途中駅に停車しながら、カールスルーエまでは23分です。

ドイツの主要都市間ではICE網が整備されつつあり、かつてはドイツ中を走り回っていたICも現在では影が薄くなっています。その中でこのカールスルーエ、シュツットガルト、ニュルンベルグを結ぶルートは、まだICが最優等列車として活躍している区間です。

Img_5708カールスルーエ9:06発のIC2065は前から2等車6両、1等食堂合造車、1等車の編成で、これを最後尾の電気機関車がプッシュします。最後の1等車はコンパートメントで、しかも昔ながらのちゃんとしたソファータイプの座席。向いの席の座面も引き出して、のんびりと寛げます。

Img_5711この区間は約3時間の距離で、ドイツのIC用車輌ですから、2等車でも十分だろうと思っていたのですが、インターネットで列車指定で大幅に割り引かれた1等チケットが売られていたので、思わず飛びついてしまった次第です。クレジットカードでの本人確認が必要であるため、車掌から提示を求められました。

カールスルーエ近郊では、路面電車タイプの車輌がDB本線に乗り入れて、郊外と中心部を乗り換え無しで利用できるようなシステムが導入されているようです。ただあのタイプの電車ではやはり最高速度には限界があるでしょうから、優等列車が160km/hで走るような区間では、それなりに運転間隔が広くないと、適用は難しいのではないでしょうか。

シュツットガルトで方向転換し、今度は機関車が先頭となって列車を牽引します。ドイツの鉄道は概ね正確ですから、あまり途中駅を確認しながら先の代替案を考える必要もありません。食堂車のスタッフが注文を聞きに来たのでコーヒーを頼み、室内のコンセントも生きているので、今夜ホテルでアップしようと思っていた原稿をタイプして過ごすうち、ニュルンベルグに定時に到着です。


(7)プラハの一夜に続きます

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